
こんにちは。まるじです。
秋田県は雄勝郡羽後町(おがちぐんうごまち)という所に行って来ました。そうです。まっ昼間から美味しいビールを飲むために。

羽後町は秋田県の南の方に位置していて、湯沢市や由利本荘市、横手市に囲まれていて「意地でも合併しねぇぞ!」という気合すら感じます。(詳しいことは知らない)
そんな羽後町で開催されていたのがUGO JAZZ FESTIVAL 2017(ユーゴージャズフェスティバル)というジャズフェス。
どうやらこの町は古くから芸能の町として知られ、多くのミュージシャンが活動しているそうで。
このジャズフェスも2日間に渡り開催されていて、全国各地から中学生や高校生、プロ・アマ問わず多くのビックバンドやシンガーが集い、のんびりとした空気の中心地よいJAZZを奏でておりました。
しかし。僕のお目当てはJAZZではなく……

そう!僕のお目当てはこのビール!!
「羽後麦酒」(うごばくしゅ)という小さな小さなクラフトビール醸造所のビールです。
2017年7月から醸造を初めたばかりのできたてホヤホヤのブルワリー。
伺った当時の定番商品はゴールデンエール、ベルジャンホワイト、ペールエールの3種類でした。

ジャズフェスへの道の途中で立ち寄った「道の駅うご – 端縫いの郷 -」にも並べられておりました。この道の駅での販売が羽後麦酒のデビューだったそうですが、なんと用意した150本が販売開始7分で即完売したそうです。
地元の人の注目度の高さが伺えます。

造っているのは代表の鈴木隆弘さん(右)と工場長の鈴木英治さん(左)。
羽後麦酒は、代表である鈴木さんの「羽後町を元気にするきっかけを作りたい」という思いから設立され、クラウドファンディングでも多くの支持を集めたことで、クラフトビール界では立ち上がる前から”知る人ぞ知る”存在となっていました。
多種多様のビールが存在するということは下記の記事にも書いたとおりで、ビールが持つ汎用性の高さは地域活性化にはうってつけだと僕も思っています。
なにせ原材料にいろんなものを使えますからね。その地域で採れる果物や特産品なんかととっても相性が良い。
そんなお話をビールを飲みながらさせてもらった所、「明日で良ければ醸造所を見に来てもらって構いませんよ」と許可をいただき、製造現場を訪ねることが出来ました!
見たことのない衝撃の……

教えてもらった住所を頼りに、その場所へ行ってみると、素敵な造りの蔵が。
「おおお!かっこいい!」と思ったのだが、看板には「蔵しこ」とかいてある。どうやら飲食店のようだ。うーん。ここじゃない。
あたりを歩いてみると、裏手に小さな建物が。




(ステッカーちっちぇぇぇ!!)

控えめ!それはもう控えめであります。伺ったこの日でオープンして2ヶ月くらいだったので外装気にしてる場合じゃなかったんだろうなぁ。
これは逆に期待が高まります。

と乗り込んだ所、代表の鈴木さんが迎えてくれました。

中は蔵と言うか古民家というか。昔は味噌蔵だったそうで。綺麗に改装した古き良き造りでした。

えーっと。。。さっそく設備見ますか?まぁ。そうですね…設備と言いましてもですね…























冷蔵庫に食品用滅菌ビニール袋ぶち込んで発酵させてるとは驚きました。
新政の生酛造りに通ずる手法ですよね。実はビニール袋で造るほうが衛生的だし、扱いやすくて小回りも効くし、菌の活動をコントロールしやすいという特徴があります。
羽後麦酒のような小さな設備のブルワリーにはもってこいの手法だと感じました。
しかしまぁ100リットルって。ちょっとした居酒屋さんだと10日くらいでなくなっちゃう量。とにかく回数を重ねて造っていくスタイルですね。










地方における現代ならではの「ものづくり」の真髄

今回、羽後麦酒にお邪魔して、あらためて感じたのが「ビールが持つ多様性は地域活性と非常に相性が良い」ということ。
まだまだ地方の食材や原材料には知られていない素晴らしいものがある。そしてビールにはそれを受け入れるだけの汎用性がある。
僕が訪ねた後も羽後麦酒は進化を重ねていて、お話してもらった通り苺や食用菊、ブルーベリーや柚子のビール、またセッションIPAなどもリリースしてる。
秋田県立大学の学生さんたちと共同で醸造した「Bls’17 ~premire~(ブルースセブンティーン プルミエール)」というビールもリリース。苦いビールが苦手な若い世代やビールに馴染みのない方にも飲みやすいように流行のニューイングランドスタイルを採用してるみたい。
それを学生さんと一緒に道の駅で試飲販売するなど、次世代との交流も大切にしている。

正直に書かせてもらうと、ビールとしての完成度はまだまだ発展途上と言っていいと思う。羽後麦酒より美味しいビールを求めるなら他のビールで良い。
ただ、羽後麦酒じゃないと出来ないビールが確実に存在する。
第一次地ビールブームの金儲け至上主義的な流れから淘汰され、生き残った二次ブームの火付け役が残してくれた技術力。その潮流を、こうした第三次ブームのマイクロブルワリーが純粋に「美味しいビールを造って地域を盛り上げたい」という信念のもと地方で継承していることは、クラフトビール業界にとって大きな財産だと思う。
鈴木さんは10年以上も前から羽後町でビールを作りたいと、構想を練ってきたそうだ。
当時は誰もそんな夢物語に耳を傾けてくれなかったそうだが、少しづつ少しづつ賛同者や仲間を集め、苦悩しながらもそれをカタチにしてきた。
その夢物語のビールを今、こうして現実に飲んで楽しむことができる。
規模は小さく泥臭い地味な活動であっても、地域に根ざした「ものづくり」はアイデアと情熱次第で誰かの喜びに変わる。

UGO JAZZ FESTIVAL facebookページより
実際に羽後町のジャズフェスティバルはとても温かい人情味溢れる空気で満ち溢れていたし、地元のクラフトビールと地元のジャズバンドの演奏がマッチしないわけがない。
とても幸せな時間をお裾分けいただいたし、地域活性の現場においてとても良い例を見せてもらった。羽後町また再訪したいなぁ。羽後麦酒の皆さん、ありがとうございました!