飲食店はドラマチックな毎日だった 〜ハトです。ハト編〜

こんにちは。数々の飲食店を渡り歩いてきた男まるじです。

 

飲食店勤務ってけっこうブラックなイメージがあったりして、ネガティブなイメージを持っている方も多いと思います。

 

飲食店で働くとどんな体験ができるのか。絶対に参考にはならないと思うけれど、今日は僕が勤めていた飲食店で起こった出来事を紹介したいと思います。

 

思いもよらぬ来客

 

僕は当時、渋谷のお好み焼き屋さんで働いていた。鉄板の前に立ち、お客さんの目の前で調理し会話をする事はとても楽しかった。

渋谷という土地柄もあり客層は比較的若く、僕と同年代のお客さんを相手に毎晩ワイワイ盛り上がっていた。

 

そんなある日、事件は起こった。

 

あれは春先だっただろうか。日も延びてきて、少し暖かくなってきたなぁと感じる季節。僕はいつもと変わらず鉄板と向き合っていた。お客さんもそこそこ入っていて店内は活気に満ちている。

 

そんな時、アルバイトの大学生シュンスケくんがホールから急に僕に駆け寄ってきてこう言った。

 

シュンスケくん
まるじさん!ハトです。

 

まるじ
え?

 

シュンスケくん
いや。だからハトです。ハト。

 

は?どうした大学生。しっかりしろ。

そう思った矢先。

 

お客さん
ぎゃーーーーーーーーー!!

 

まるじ
え?

 

シュンスケくん
だからハトいるんです。ハト。

 

まるじ
え!?店内に!?ウソでしょ?なんでそんなに穏やかな口調なの!?

 

お客さん
わーーーー!ハトだよ!ハトー!ぎゃーーー!

 

 

ハトさんは座敷の上を歩いていらっしゃった。それはもう鳳凰かと思うくらいの堂々たる歩きっぷり。(鳳凰歩くのか知らんけど)

僕は静かに近づいた。そーっと捕まえようとしたがハトさんは危険を察知しバタバタバタっと羽ばたいた。

 

お客さん
わーーーー!こっちきたー!ぎゃー!

 

僕の手をかいくぐり、ハトさんは再び座敷に舞い降りた。なんならご丁寧に座布団に座っていらっしゃる。

 

これは本気を出さねばなるまい。しかし。どうしよう。。。

 

救世主現る!

どうしようかと思ってたその時。僕の前に一人の大柄な男性が現れた。

もう一人の社員かっしーさんだ。

 

かっしーさんはおもむろに普段かぶっている帽子を取り出し、お客さんに向かってこう言った。

かっしー
すいませんねー!あとで皆さんに手品見せようと思ったんですけどね!ネタバレしちゃったなぁ!なぁ。まるじー!

 

まるじ
え?あ。うん。そう!そうなんですよー。ダメじゃん!逃しちゃ!(笑)

 

お客さん
なんで逃しちゃうんだよー!wwwwwちゃんと手品やってよー!wwwww

 

なんと機転の利いた冗談なんだろうか。しかもウケてるwww

 

かっしー
すいませんねー!すぐにしまいますー。

と言ってかっしーさんは帽子でエイ!っとハトさんを捕まえた!

なぜかハトさんは抵抗しない。

かっしー
失礼しましたー!なんなら今から手品やりましょうか!?
お客さん
もういいよ!十分イリュージョンだわw
かっしー
あら。そうですか?じゃあ外に逃がしてきますねー。

 

 

そう言ってかっしーさんと二人で屋根みたいなとことろに出て、ハトを放してあげた。

飛び立つかと思いきや、ハトは屋根に座ってしまった。

 

弱っている。そう。ハトさんは弱っていたのだ。

お金もないし歩く気力もない。しかし救いの手を求め、意を決してハトさんはお好み焼き屋に潜り込んだのだ。

 

豚玉にしようか、海鮮にしようか。そばは入れるのか。焼き上がりまでにチョイとつまめる一品も良いだろう。

豊富なメニューに迷っていたことだろう。だってそこはお好み焼き屋だから。

 

母ハトも父ハトもお好み焼きの食べ方は教えてくれなかった。

息子(もしかすると娘)が自分の力でお好み焼き屋に入れるようになるとは想像もしていなかっただろう。

 

しかしあと一歩のところでその夢は叶わなかった。ハト立ち入り禁止の看板は出ていなかったのに。

お金を持っていなかったのがバレたからだろうか。バタついた時にチャリンチャリンと小銭の音をさせて「お金持ってるよー!」とアピールしておけば、人間につまみ出されることもなかったのかもしれない。

こうして彼のお好み焼きを食べるという挑戦は幕を閉じた。

今こうして振り返ってみると、なんだか動物に優しくしてやれていなかった自分が少し恥ずかしい。

いつかまた別のハトさんが僕のごはんを食べに来るかもしれない。その時は優しい心で、お金を持っているか確認し、迷うことなく帽子に入れて出て行ってもらうことに決めている。

これから飲食店で働く方のヒントになれば幸いです。

 

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