やぁみんな。「auをこよなく愛する料理人ブロガー」まるじだよ。
最近格安スマホが気になっていることは内緒ね。
昔さぁ。和食屋さんで働いてた時に、気づいたらdocomoとSoftBankで計16台契約させられてたんだよねー。
タダでiPhoneもらえるよ。
僕がまだその和食屋さんに入ったばっかりの頃。
一緒に働いてた同僚から「新しいiPhoneを0円にしてくれる常連さんがいる」って話を聞いた。
なんだその神様みたいな人は。
僕はちょうど携帯の契約更新をどうするか迷っていた時期で。その同僚も、他の同僚も、すでに手続きを済ませていて新型iPhoneを待っている状態だという。「0円でiPhone手に入るならめっちゃいいやん!」と思って僕もその常連さんを紹介してもらった。
狂っているほどコワモテで、狂っているほどデカくて、狂っているほど埼玉ヤンキーみたいで、狂っているほど巨人ファンで、狂っているほどチワワを7匹飼っていて、狂っているほどゴルフが好きで、狂っているほど高級外車を乗り回していて、狂ってるほどスピードを出してしまうその常連さんは、僕が携帯を変えたいということを伝えるとすぐに「お。大丈夫。タダでiPhoneもらえるよ。明日の昼空いてる?」とさっそく僕の予定を抑えた。
翌日。ご丁寧に高級外車で家まで迎えに来てくれたコワモテのその男は、僕を乗せ秋葉原のヨドバシに車を走らせた。
車内でiPhoneが無料になる仕組みを聞いた。デカい男はこう説明した。
一度違う機種やプランをたくさん契約する。
↓
携帯ショップの知人にそのプランを全部無料にしてもらう。
↓
たくさん契約するとポイントが貯まる。
↓
たまったポイントで新しいiPhoneを買う。
↓
すぐに最初契約した無料のプランを解約する。
なるほどー。
そんな技があるのねー。
僕は同僚たちが契約を済ませていたこともあって、何の疑いもなく埼玉ヤンキーの言う通り、印鑑と免許証のコピーを用意し、秋葉原のヨドバシで1枚の書類を書いた。
たしか住所と氏名と生年月日とかそんな簡単なことしか書いてない。あとは店員さんが全部書いてくれるそうだ。
僕は巨人ファンのその男に缶コーヒーをご馳走になり、また家まで送ってもらった。
いつまでたっても届かないiPhone
チワワを7匹飼っているその男は、それからも変わらず結構な頻度で和食屋さんに現れては、フォアグラ丼とアップルジュースという異色の組み合わせを一人で楽しんでいた。
営業終了後にスポッチャ連れて行ってくれたり、休みの日にゴルフの打ちっ放しに連れて行ってくれたり、とっても良い人だった。
そんなある日、ゴルフ好きのその男が「まるじのポイントがギリギリ足りないから、もう一軒違うショップで書類を書いて欲しい」と言ってきた。
はっきり言って何も疑ってなかったので、僕はまた高級外車に乗せられ、荒すぎる運転で有楽町のビックカメラに連れて行かれた。
すでに奥の店員さんとは話が済んでいる様子だった。また簡単に書き込んで免許証のコピーを提出して終わった。5分もかかっていないだろう。
「これでついにiPhoneゲットできるな!よかったじゃん!」
って言ってた。僕もそう思った。
それから1ヶ月が経過した。まだ僕の新型iPhoneは届かない。高級外車を乗り回しているその男は、前よりお店に来る頻度が減っていた。
たまに来ては「iPhone遅くなっててごめんねー!いま1ヶ月経たないとポイント付かない仕様に変わったみたいでさー。」的な言い訳を残し、足早に帰って行った。
僕の家にはよく分からない大量の請求書が送られてくるようになった。どうやら僕は知らない間に携帯8台とiPadが5台、ディズニーのフォトフレーム3台を契約しているようだった。
他の同僚の家にも大量の請求書が届いていた。
僕らはさすがに不安になり、「携帯いつ届くんですか?この請求書ってどうしたら良いんですか?」と電話で尋ねた。
「いま取引先と話進めてるからもうちょっと待ってて。請求書は無視して捨てちゃっていいよ!お金払わなくて大丈夫だから。ごめんね!みんなの分まとめて話を進めてて、ゴチャゴチャになっちゃうから、個人的に動いたりせずに待ってて欲しい。」
って言ってた。
僕らは3ヶ月ほど謎の請求書を無視し続けた。docomoとSoftBankから「いい加減にしねーとやっちまうぞ!このボケナスが!」的な大量の書類の束と、嵐のような電話が毎日僕らを押しつぶしてきた。
事件の終息と一抹の寂しさ
スピード狂のその男はもう店にも来なくなっていたし、電話にも出なくなった。
僕らはどうしていいのか分からず途方に暮れていたが、和食屋のオーナーがこのピンチを救ってくれた。顔の広いオーナーだったので、docomoとSoftBankの知人に話をして、まずはこの謎の請求を止めてくれた。超多額の請求だったので、この作業は結構難航したらしい。
次に弁護士に相談して法的処置を取ってくれた。何をどうしたのか、詳しくは知らないが、とにかく僕たちはお金を払わなくて済んだ。弁護士費用はオーナーが負担してくれた。これまた結構な額だったらしい。男気と人脈と資金力のあるオーナーで本当に良かった。
とりあえず事件は終息した。
フォアグラ丼とアップルジュースのその男は詐欺容疑で警察からマークされていると聞いた。
そんなある日、僕が仕事を終え店から出て、最初の曲がり角を曲がった瞬間にその詐欺師とバッタリ鉢合わせたのだ。
「あっ。。。」
という短い声だけを残して走って逃げていった。
その時、彼に伝えることができなかったので、読むことはないと思いますがここに書いておきます。
「アナタは犯罪に手を染めた悪どい人間だが、一緒に遊んだりしている時は本気で友人のように遊んでくれたし、別れる時は少し寂しそうな目をしてくれた。うまい話にヒョイコラと乗っかった我々にも落ち度はあるだろうし、事件はオーナーが解決してくれたので、僕はもう怒っていない。アナタは犯罪仲間ではなく、本当の友達が欲しかったのだろうなって。なんとなく分かる。少しでも楽しい時間が過ごせて良かったよ。警察がアナタをマークしている。もはや逃げられないかもしれないけど、どこかで正直に生きていって欲しい。」
と伝えたかった。
驚くほど足早に。それはもうゴキブリのように暗闇に消えていったから、この思いを伝えることはできなかったけど。一応ここに書き記しておきます。
後日、彼が逮捕されたと聞いた。
ホッとしたような、少し寂しいような。オーナーが解決してくれていなかったら絶対に許せていないと思うが、正直なところ僕はそんな複雑な気持ちを抱いていた。
http://blogs.yahoo.co.jp/attyonnblique/53078465.html
もう何年か前の話になるし、この記事書いて良いのか迷ったんだけど、「気づいたら振り込め詐欺に加担してた!」なんて人が出てこないためにも。うまい話に乗っかって詐欺に遭う人が少しでも減ってくれたら。という思いでここに書きました。
家族や友人に注意喚起を促す意味でもシェア・拡散してもらえると、書いて良かったなと思えます。皆さんも詐欺にはご注意ですぞ。ではまた。